Live
・日時:2020/12/9we
・出演:本名カズトGroup:本名カズト(vo&g)・大野カン(g)・位髙太一(b)・森邊浩章(dr)
・開場/開演:18:30/19:30~(2ステージ)
・会場:池袋『FREE FLOW RANCH』
始まり
マカロニ・ウェスタンを彷彿とさせる看板や店構えは私の世代には懐かしくワクワクさせるものがある。テレビの再放送ではよく流れていたのだ。様々なシーンが子供心に衝撃を与えた。
都の自粛要請により30分早い開演。知らず私の中で年末の恒例行事になった池袋 FREE FLOW RANCH ライブ。この一年は余りにも色々なことがお起きた。「あの日から一年なのか」と驚かされる。不思議なのが、いつもこの時ばかりは帳尻が合う。
準備をしながら何を思うでもなく音楽を聞いてる。マスターが流している曲が本当に素晴らしく、何を聞いても、何時聞いても心を掴まれる曲ばかり。音楽の造詣が深くない私でも音楽に浸れる。この時、何も考えていない。手だけが動いている。準備が終わり、恒例のレモネードで喉を潤し一息つくと、演奏が始まろうとしている。※クリックすると画像が拡大されます。
Photo Stories
・当日の演奏タイムラインに則った配列にしております。左上から右下へ時が流れます。※クリックすると画像が拡大されます。
終えて
益々魅力的になっていて驚かされた。人間的調和に加え、これまでの歩みが結果的に表現を豊かにしているのだろう。
「歳を経てからこそ旨味は出るんだけどね」とは我が亡き師の言葉。若い頃には無い境地境涯が意識せずとも増してくる。しかしそれは必ずしも良い意味で積層化するとは限らない。良いとしたら本人の構えに起因する。本人が過去の歩みをどう受け取ったか、消化したかで大きく味わいは変わってくる。それがとても良いのだ。心地いい。実に音楽。それが声を通し、演奏を通し、波動となって伝わって感動を得る。
誰しも様々な理由で表立った活動が出来なる時期がある。師はそれを「外野はとやかく言うけど気にする必要はない。外から見えないだけで内側の活動はしているからね」と言った。嘗て本名さんもそうした局面を迎えた。その度ごとに師に尋ねると「止めたと思わなければいい」と言った。「思索の時期だと割り切る」と。そして「止めたと思わない限り活動は続いているよ。脳内でね。頭の中に栄養を溜め込む時だと思えばいい。外へ向けて動き出す時、より豊かになっていることは間違いない」と伺い、それを伝えた。
演奏はどれも素晴らしく充実していた。中でも図抜けて心を動かされた曲がある。「マーチ」だ。過去を蒸し返した作品だと言う。演奏前、その曲を本名氏は若い頃に作り披露したものの大失敗に終わったと回顧する。師の言葉を思い出した。「失敗したと思っても大切にとっておくんだよ。感動した要因があるからね。気が向いたら蒸し返せばいいよ。何度でもね。手先や、頭の片隅で作り上げた作品には感動が無いけど、そうした作品には感動がある。時を経ないと、技術や境涯を得ないと、出来ない作物というのはあるからね」その言葉を思い出す。
外に出るとこの時期にしてはあまり寒く感じない。電車内の人は少ないのに外には人が多い。去年はこのライトアップを寒々しく見たが今日はとても明るく力強い気持ちで眺められた。
Photograph & Print & Written by MATSUZATO hoko.